大学受験に強くなる教養講座

 

大学受験に強くなる教養講座 (ちくまプリマー新書)

大学受験に強くなる教養講座 (ちくまプリマー新書)

 

 「大学受験に強くなる」と銘を打っているが、おそらく受験の時に勉強としてこんな本を読んでいるようなやつは真っ先に落ちるだろう。

多分これも編集者か誰かが、少しでも売るためにつけたタイトルだろう。

なるほど内容は現代文で出てきそうな内容。だがしかしまぁ受験に必要かと言われれば、知らなくても受かるだろう。

現代文で出てきそうな「ポストコロニアル」とか「脱工業社会」などの話がいくつか載っている。

受験勉強に疲れたり、受験が終わったら軽く読む物としてはちょうどいいだろう。

妖怪 岸信介

 

岸信介―権勢の政治家 (岩波新書 新赤版 (368))

岸信介―権勢の政治家 (岩波新書 新赤版 (368))

 

 岸信介という人物は甚だとんでもない人物だ。

 

東大で首席を取り、官僚となり、戦時下の内閣大臣も務める。

満州時代にかなり黒いこともやっていると言われ、戦後A級戦犯から総理大臣になった。

現在の日本国総理大臣である安倍晋三氏のおじいちゃんである。

 

一般に「妖怪」という異名で言われるが、彼の人生をみるとそれにもうなずける。

この本はそんな「妖怪」がどうやって出来上がったのか、その生涯が記されている。

個人的には上杉慎吉から北一輝大川周明と思想が形作られてゆく場面が面白かった。先人の知恵とぶつかり、驚き、感心し、思想が形成されてゆく。

 

時は戦前から敗戦、そして復興という激動の時代である。

そんな時代に「妖怪」はどう振る舞ったか。非常に面白い読み物だ。

 

僕自身初めてその生涯を知った時単純にすげぇと思った。こんなドラマみたいな人生を歩んだ人がいたのかと思う。

どうせ生きるのならこんな人生を歩んでみたい。

ライ麦畑でつかまえて

 

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

 

 

世界的に人気の高い『ライ麦畑でつかまえて』は、少年から大人になる過渡期の青年の心情を鮮やかに描いたサリンジャーの代表作。
今まであまり小説を読んでこなかったことに気づき、これからちょくちょく読んでいこうと思い、まずこの有名な小説を読んだ。ここから若干ネタバレあります。
 
実はストーリー自体は僕自身そこまで深く感じるものはなかった。ただ主人公ホールデンが妹フィービーのもとへ行った一連のシーンはかなりグッと来るものがあった。
 
いつものホールデンは不寛容な心を持って、いつも周りを心の中でけなしている嫌なやつだ。なんでもっと世間に寛容になれないのかと感じていたが、このフィービーとのシーンでは一気に優しく、温かい心を持ったホールデンが現れるのである。
 
ホールデンはたばこを吸い、酒も飲み、既に少年から大人になりかけているが、心はまだ少年のままである。それゆえ周りの汚い大人や不合理なものに対して強い反発を覚える。
 
しかしそんなホールデンにとって唯一心の支えとなっているのが、妹のフィービー。上に書いたフィービーとのシーンで突然ホールデンは涙があふれて止まらなくなってしまうが、それは大人の世界へ片足を突っ込んでしまっている自分自身が無くしかけている純粋さや素直さがフィービーにはまだ残っていることを感じ、急に悲しくなり、涙が溢れ出てきてしまったのではないだろうか。このシーンは意味が分かると、色々なことを考えさせられる。ストーリー上でも重要な場面であると思う。
ちなみにストーリーをよく注意して読むと、ホールデンは自分より年上の大人に対してはきつく当たっているのに対し、年下の少年や子供に対しては必ず寛容で温かく接している。
 
誰しも少年から大人になるとき特有の戸惑いや反抗を経験してきていると思うが、この作品ではそんな心情を上手く表現している。だからこそ、ここまで多くの人に愛読されてきたのだと思ったし、多くの人が思春期に読むべき本だと言っていることも納得できる。
 
青年期に大人になることに対する葛藤や戸惑いを多く経験してきた人には、特に感じることが多い作品なのではないだろうか。

全脳型勉強法

 

サブタイトルは「脳生理学が教える効果的学習法」

勉強法に関する本は巷に溢れかえっているが、この本は生理学からのアプローチ。

 

著者は医学博士で大学で実際に医学を教えている専門家。

 

この本で主張されている勉強法の大きな柱は2つ。

1、イメージすること

2、楽しいかどうか

この2つが勉強において重要だと主張する。

 

全くもって正しい勉強法であると思う。

 

1つめは「イメージすること」。

例えば英語の勉強。文法からはじめてThis is a pen.などという勉強法は論理の勉強法であり、イメージをする部分は無く、よい勉強法とは言えない。

文法なんかより、いきなり外国人と会話をし、相手がなにを考えているか、どう表現すれば良いかなどイメージしてゆくことによって多くのことを学べる。

数学においてもただ公式を覚えて問題を解くのは、多くの人にとって苦痛であるし結局身につかない。この問題をこう変えたらどうなるか、どういう風に応用できるかなど、イメージさせることが結果的に本人のためになる勉強へと繋がる。

 

2つめは「楽しいかどうか」。

これは一目瞭然である。自分の好きなことは時間を忘れて没頭できるだろう。それは対象が好きだからだ。

勉強に関しても同じで、好きでないものは頭に入らないし、無理矢理入れたところですぐ忘れてしまう。

 

簡単に言えばこの2つがこの本で推奨されている勉強法である。脳生理学的な観点からの説明もあるので面白い。

 

さらに言えば、この2つも密接に関係していると思う。

勉強においては今まで出来なかった問題が解けたとき楽しいと感じるはずである。

とするとイメージをすることによって問題が解けるようになり、解けたことによって楽しいと感じる。楽しいと感じることで勉強が捗り、さらにイメージするようになる。

 

この連鎖に乗って、僕も楽しく勉強しようと思う。

 

かっこいいけど残念

 

Googleの脳みそ―変革者たちの思考回路

Googleの脳みそ―変革者たちの思考回路

 

 前から持ってはいたのだが、最近改めて読んだ本がこちら。

 

まず装幀が真っ黒でかっこいい。

ブラックブックって感じで大切にしたくなる本だ。

 

しかしこの本、とても残念である。

何が残念かというとタイトルと内容がまったく違うというのだ。

 

タイトルは「Googleの脳みそ」というタイトルでこれまた非常にかっこいい。そして読んでみたくなるタイトルだ。

大抵の人はこのタイトルから、Googleがどのような考えを持って会社を強くし、世界に変革をもたらしたのか、その方法論と分析が書かれているように想起するはずだ。

 

しかし内容はまったくもって違う。ましてGoogleは最初の数ページにしか出てこない。

 

全体の内容は新聞記者の著者らしく過去の事件や問題を取り上げ、その特徴を記し、最後に社会を良くするための自分の意見を述べるという内容だ。

 

本のタイトルにアインシュタインという個人名をつけると売り上げが伸びるという話を聞いたことがあるが、この本もその類だろう。

Googleは近年でもっとも我々の生活に支配力をもった企業であり、YoutubeGoogle mapなどを作り出した企業の考え方を知りたいと思う人も多いだろう。

そうした消費者心理を逆手に取ったなかなか悪徳な本である。

出版社がつけたのか著者がつけたのか分からないが、内容が真面目なだけに残念である。

もっと内容に即したタイトルであればよかったのにとつくづく思う。

 

僕は本を買うときタイトルで購入を決めてしまうことが多いが、これからはよく内容を確認して購入しようと思う。

 

僕は唯一無二の存在ではなかった

 

量子力学が語る世界像―重なり合う複数の過去と未来 (ブルーバックス)

量子力学が語る世界像―重なり合う複数の過去と未来 (ブルーバックス)

 

 

 『量子力学が語る世界像』という本。
 この本で紹介されている考え方が「多世界解釈」という考え方。
 この考え方には心底驚いた。どういった考え方かというと、「世界はひとつではなく、別の世界が同時に存在している」という考え方。一見そんなわけないだろうと思うし、実感としてそんなことは考えられない。だって僕はここに存在していて、もちろん同じ人間なんかいない。まったく同じ別の自分自身が実際に存在しているなどありえるわけがない。
 しかしそんなありえないことが科学的にはありえると考えられているのである。もちろんまだ疑問は残っているし、実際にもう一人の自分と会って、確認することなどできないのであるからそんなのは詭弁だという人もいる。だが量子力学の多くの問題はこの「多世界解釈」で解釈すると辻褄が合ってしまうのである。
 「二重スリット実験」や「シュレディンガーの猫」などという言葉を聞いた事はないだろうか。
 これらの実験もこの多世界解釈にまつわる実験だ。
 僕はこの本を読み、「多世界解釈」という概念を知った時本当に驚いたし、今でもそんなことがあるのかと考える。まるでSFだ。しかしそんなSFめいたことが実際に科学的整合性を持って存在しているのだ。
 つくづくこの世界は奇妙だなと思う。世界が1つではないなんて。
 そろそろ文章にまとまりが無くなってきたのでやめにする。この本は本当に面白い。今までのこの世界の見方を変えられてしまう。また物理の知識がまったくない人でも、難しい理論のところは飛ばして読んでいけば面白く読めるはずだ。