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ライ麦畑でつかまえて

 

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

 

 

世界的に人気の高い『ライ麦畑でつかまえて』は、少年から大人になる過渡期の青年の心情を鮮やかに描いたサリンジャーの代表作。
今まであまり小説を読んでこなかったことに気づき、これからちょくちょく読んでいこうと思い、まずこの有名な小説を読んだ。ここから若干ネタバレあります。
 
実はストーリー自体は僕自身そこまで深く感じるものはなかった。ただ主人公ホールデンが妹フィービーのもとへ行った一連のシーンはかなりグッと来るものがあった。
 
いつものホールデンは不寛容な心を持って、いつも周りを心の中でけなしている嫌なやつだ。なんでもっと世間に寛容になれないのかと感じていたが、このフィービーとのシーンでは一気に優しく、温かい心を持ったホールデンが現れるのである。
 
ホールデンはたばこを吸い、酒も飲み、既に少年から大人になりかけているが、心はまだ少年のままである。それゆえ周りの汚い大人や不合理なものに対して強い反発を覚える。
 
しかしそんなホールデンにとって唯一心の支えとなっているのが、妹のフィービー。上に書いたフィービーとのシーンで突然ホールデンは涙があふれて止まらなくなってしまうが、それは大人の世界へ片足を突っ込んでしまっている自分自身が無くしかけている純粋さや素直さがフィービーにはまだ残っていることを感じ、急に悲しくなり、涙が溢れ出てきてしまったのではないだろうか。このシーンは意味が分かると、色々なことを考えさせられる。ストーリー上でも重要な場面であると思う。
ちなみにストーリーをよく注意して読むと、ホールデンは自分より年上の大人に対してはきつく当たっているのに対し、年下の少年や子供に対しては必ず寛容で温かく接している。
 
誰しも少年から大人になるとき特有の戸惑いや反抗を経験してきていると思うが、この作品ではそんな心情を上手く表現している。だからこそ、ここまで多くの人に愛読されてきたのだと思ったし、多くの人が思春期に読むべき本だと言っていることも納得できる。
 
青年期に大人になることに対する葛藤や戸惑いを多く経験してきた人には、特に感じることが多い作品なのではないだろうか。